作成日:2025.10.19
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※本記事は、作成日または最終更新日時点で公表されている制度情報・数値・資料に基づいて作成しています。
系統用蓄電池(BESS)の系統連系ガイド【2025年版】
— 申請から受給開始まで7ステップ —
この資料のポイント(3行要約)
1系統連系は事前相談→接続検討→契約申込み→工事費負担金→工事→試運転→受給開始の順に進行。
210MW以上や企業グループ連系はOCCTOが関与。
3BESSも発電設備として技術要件適合が必須。
CONTENTS目次
なぜ系統連系が重要か(背景・制度)
公平・透明なルール整備
日本の系統接続は、公平・透明の原則で先着優先を基本とし、費用は「特定負担」と「一般負担」に整理されています。
ノンファーム接続拡大
全国展開されたノンファーム接続制度により、系統増強を待たずに条件付きで接続できるようになり、事業化が加速しています。
多様な電源の系統貢献
BESS(蓄電池)は周波数維持や電圧維持に貢献し、力率・高調波・FRT等の要件適合が求められています。
系統連系の全体フロー(7ステップ概観)
発電設備等(系統用蓄電池:BESS)の系統連系は、以下の7つのステップで進行します。各ステップで必要な提出書類・申請先・費用が異なりますので、全体像を把握しましょう。
※ 制度の公式フローに準拠(資源エネルギー庁・一般送配電事業者)
0
事前相談(任意)
候補地点の系統状況・連系制限・概算費用確認
※概ね1か月以内(目安)
1
接続検討申込み・検討
技術検討料支払い、原則3か月以内に回答(~500kW未満は2か月)[*1]
※10MW以上・同一企業グループはOCCTO経由
2
契約申込み → 連系承諾
申込み・保証金支払い、連系予約、ここで連系確定/回答目安:原則6か月[*3]
3
工事費負担金契約
特定負担・一般負担の費用区分決定・契約
4
工事(系統側/需要家側)
詳細設計、資材調達、現地工事
5
計量・試運転
計量器設置、保護リレー動作確認、並列試験
6
受給開始
受給契約/託送契約に基づく運用開始
ステップ0:事前相談(任意)
目的と重要性
候補地点の系統状況、想定される工事内容、概算費用の目安を事前に把握することができます。本格的な検討前の初期判断材料になります。
必要な提出書類
設置場所、連系電圧/容量、BESS定格(kW/kWh)、単線結線図(SLD)案、運用イメージなどを準備します。詳細度は低くても問題ありません。
回答時期と次ステップ
申込み受付から概ね1か月以内(目安)に回答があります。この回答は系統連系の可否を確約するものではなく、初期判断のための情報提供です。
事前相談は各社の業務フローで案内。東電PG「お申込みの流れ」に記載あり。
ステップ1:接続検討とOCCTO関与条件
通常の申込み先
連系エリアの一般送配電事業者または配電事業者へ接続検討を申し込みます。接続検討開始には検討料の支払いが必要です。
OCCTO関与条件
①最大受電電力合計が10MW以上の場合、または②申込先事業者と同一法人/親子法人等の関係にある場合は、OCCTOへの申込みが必要です。
実際の検討者
OCCTOへ申込んだ場合でも、検討自体は連系エリアの一般送配電事業者または配電事業者が実施します。OCCTOは検討結果の妥当性確認を行います。
重要な注意点
接続検討は系統連系を確約するものではありません。系統連系が確定するのは契約申込み後の連系承諾時です。
ステップ2:契約申込みと連系承諾
申込み・保証金支払い
接続検討の回答内容を踏まえ事業性を判断した後、連系希望先の一般送配電事業者へ契約申込みを行い、保証金を支払います。
連系予約・承諾手続き
申込書の内容と保証金の入金確認後、契約申込み時の系統条件に基づく検討が行われ、結果が回答されます(系統連系の承諾)。
辞退・変更のルール確認
各送配電事業者のルールで、連系承諾後の辞退・変更時の取扱いが定義されています。承諾後で初めて系統連系が「確定」します。
ステップ3:工事費負担金と費用構造
特定負担(個別工事費用)
系統連系希望者が直接受益する部分に対応する費用です。専用線引込みや構内設備など、個別の連系設備に対する費用が該当します。連系申込者が全額負担します。
一般負担(系統全体の費用)
系統利用者全体で負担すべき費用として、託送料金を通じて回収されます。電力系統全体の安定化や信頼度向上に寄与する部分に対応し、一般負担の上限額が制度で設定されています。
工事費負担金契約の締結
連系承諾後、工事費負担金契約を締結し、支払い条件を合意する必要があります。工事の着手にはこの契約締結が前提条件となります。長期工事では分割払いなども協議可能です。
※実際の費用算定は、連系点・設備構成・工事内容により異なります。見積段階で内訳と算定根拠の確認が重要です。
出典:発電設備の設置に伴う電力系統の増強及び事業者の費用負担等の在り方に関する指針(資源エネルギー庁)
ステップ4〜7:工事/計量・試運転/受給開始
ステップ4:詳細設計・工事
一般送配電事業者による詳細設計・資材発注の後、系統側工事と需要家側工事が並行して実施されます。設備分界点の確認が重要です。
ステップ5:実際の工事
現地工事では、系統連系に必要な設備(変圧器、遮断器、保護装置等)の設置や配線工事を実施。工期は案件により異なります。
ステップ6:計量・試運転
取引用計量装置の設置・確認の後、保護リレー動作確認、力率・高調波・電圧・周波数の許容内動作確認、解列試験などを実施します。
ステップ7:受給開始
すべての試験に合格後、受給契約/託送契約に基づき運用を開始。連絡体制の構築と異常時対応の確認も重要です。
主な試運転項目
・保護リレー動作確認
・力率制御確認
・高調波測定
・FRT機能確認
・解列・再連系試験
系統用蓄電池(BESS)の技術要件
周波数要件
・運転可能周波数:47.5–51.5Hz
・連続運転周波数:48.5–50.5Hz
・異常時の運転継続機能(FRT)
力率・電圧変動対策
・受電点で遅れ85%以上(原則進み不可)
・必要時は80%まで制御可能
・電圧変動対策(常時、瞬時)
保護協調・FRT要件
・適切な保護リレー設置と整定値設定
・単独運転防止機能
・FRT機能(系統事故時の運転継続)
・線路無電圧確認装置
その他の重要要件
・高調波抑制対策
・サイバーセキュリティ対策
・遮断箇所と制御方式の統一
※BESSは「発電設備等」として同様の技術要件適用対象
※運転可能周波数:47.5–51.5Hz/連続運転:48.5–50.5Hz/受電点力率:遅れ85%以上(必要時80%)
出典:東京電力パワーグリッド『系統連系に係る設備設計について<発電設備(高圧・低圧)>(2025-04-01)』[*4]
よくある誤解とQ&A
Q
接続検討の回答が出れば、連系は確定ですか?
いいえ、連系承諾(契約時)で確定します。接続検討の回答は可否や対策案の提示であり、確約ではありません。系統連系希望者の契約申込み後、一般送配電事業者からの連系承諾をもって確定となります。
Q
OCCTOへ申込むと、検討もOCCTOがやるのですか?
いいえ、検討自体は連系エリアの一般送配電事業者が実施します。OCCTOは検討結果の妥当性確認等を行います。10MW以上などOCCTO経由でも、実作業は地域の送配電事業者です。
Q
ノンファーム接続なら出力制御は発生しませんか?
いいえ、送電容量制約時には出力制御があります。ノンファーム接続とは条件付き接続であり、系統混雑時には出力抑制の対象となります。契約・制御仕様に織り込む必要があります。
出典:電力広域的運営推進機関(OCCTO)「発電設備等系統アクセスの流れ」、資源エネルギー庁「系統接続について」、2025年度版
実務チェックポイント(申請・設計・運用)
申請書類の準備・確認
・単線結線図(SLD):電気設備と系統接続点の関係を明示(受電点・責任分界点・保護装置・計測点)
・機器リスト:BESS容量(kWh)、PCS定格(kW)、変圧器、遮断器、保護継電器、CT・VT等の定格と型式
・申請フォーム:各社Webまたは紙様式の正確な記入と連絡体制の明確化
技術要件の適合確認
・力率制御:受電点で遅れ85%以上(原則進み力率不可、必要時は80%まで制御)の設計確認
・高調波・FRT対策:フィルタ設計と事故時運転継続性の確認(FRT試験結果または適合証明)
・保護協調:整定値の適切な設計と整合性確認(線路無電圧確認装置含む)
費用・工事・運用計画
・費用明細:特定負担/一般負担の区分と総額、支払条件の確認と予算確保
・スケジュール共有:工事期間、試運転時期、並列予定、運転開始日程の明確化
・サイバーセキュリティ:対策要件への対応とノンファーム接続時の出力制御システム対応
出典:東京電力パワーグリッド「系統アクセスルール[高圧・低圧版]」2025年4月改定版、
電力広域的運営推進機関「発電設備等系統アクセスの流れ」
まとめ・次のステップ
1各工程・書類提出のスケジュール把握が最重要。特に連系承諾後の工事費負担金契約締結までの期限に注意。
2一般送配電事業者の公式資料を活用し、不明点は窓口に早めに問い合わせることを推奨。
3技術要件・費用負担の制度変更に注意。特にBESSは「発電設備等」として扱われる点に留意。
注釈
[*1]接続検討の期間:原則3か月(~500kW未満は2か月)。東京電力パワーグリッド「系統アクセスルール[高圧・低圧版]」6.3.6(2025-04-01)。
[*2]契約申込み時の保証金:工事費負担金概算×5%(千円未満切捨て)。OCCTO「保証金の算定方法」(業務規程に基づく決定)。
[*3]契約申込みの回答期間:原則6か月。東京電力パワーグリッド「系統アクセスルール[高圧・低圧版]」6.3.12(2025-04-01)。
[*4]技術要件(周波数・力率):運転可能 47.5–51.5Hz/連続 48.5–50.5Hz/受電点力率 遅れ85%以上(必要時80%まで)。東京電力パワーグリッド「系統連系に係る設備設計について<発電設備(高圧・低圧)>」III‑1(2025-04-01)。
[*5]一般負担の上限(基準額)の考え方:資源エネルギー庁「発電等設備…費用負担等の在り方に関する指針」(2024-05-15改正)。
監修者
青栁 福雄
Aoyagi fukuo
Energy Link 取締役 COO
系統運用・需要側制御・スマートグリッド分野の実務家。東京電力にて変電所の建設・運用・保守および大口顧客向けエネルギーソリューションに従事。マイエナジー出向時には2002年日韓ワールドカップの複数会場および国際放送センターの電源責任を担当。東光高岳では執行役員としてスマートグリッド事業を統括し、NEDO事業等に参画。2019年にEnergy Linkを創業し、分散型電源の導入・利活用を推進。
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