作成日:2026.01.05
更新日:—
初級
制度・政策
系統アクセス/ノンファーム
#資源エネルギー庁
#電力広域的運営推進機関(OCCTO)
#ガイドライン
#制度(総称)
#制度タイプ:系統アクセス
※本記事は、作成日または最終更新日時点で公表されている制度情報・数値・資料に基づいて作成しています。
ノンファーム型接続とは?
「自由席」で系統につなぐ仕組みと出力制御の注意点(超入門)
送電容量を「あらかじめ確保しない」代わりに、混雑時は出力制御(発電を抑える)を前提に系統へつなぐ方式。[S1][S2]
・指定席 = ファーム 型容量を確保してつなぐ
・自由席 = ノンファーム型 空いている時だけ使える/混んだら譲る
最初に押さえる3点
・混雑時は出力制御があり得る(全量をいつでも流せる保証はない)[S1][S2]
・ノンファーム同士の制御は「接続順」ではなく公平(計画値比の一律配分)[S3]
・ 出力制御による売電収入の減少は原則補償されない(無補償が前提)[S3]
【重要】接続点が混雑していなくても、上位設備の混雑などで制御される場合がある
CONTENTS目次
要点(3行)
ノンファーム型接続の重要ポイント
注:本資料における「出力制御」は、系統混雑時の制御を指します(需給バランス起因の制御とは異なります)。
送電容量を確約しない
・接続の前提
ノンファーム型接続は、送電容量を確保せず「空き」を活用して接続する方式です。[S1][S2]
・混雑時の制御
系統が混雑すると、出力制御される(発電を抑制される)可能性があります。
重要論点
接続点が混雑していなくても、上位設備の混雑影響で制御される可能性があります。[S2]
原則ノンファーム扱い
・2023年度以降
2023-04-01以降に接続検討を受け付けた案件は、(10kW未満の低圧を除き)接続先の電圧階級や空き容量の有無にかかわらず、原則としてノンファーム型として扱われます。[S2][S6]
・適用範囲
基幹系統だけでなくローカル系統等へも適用範囲が拡大されています。
重要(例外)
10kW未満の低圧は制度上の適用除外(別扱い)となります。[S2]
※配電系統に空きがない場合は増強が必要なことがあります。[S2]
制御は公平に配分
・公平なルール
ノンファーム同士は「接続順」ではなく公平に配分されます。30分ごとに必要量を算定し、発電計画値の比率で割り当てられます。[S3]
・原則無補償
出力制御による売電収入減少は、原則として補償されません。[S3]
メリット
後から接続した事業者だけが不利になるわけではなく、同じルールで扱われます。
背景(なぜ必要か)
再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、系統接続の課題が浮き彫りになっています。なぜ新しい接続方式が必要なのか、その背景を整理します。
問題:再エネが「系統につなげない」
・系統(送電網・配電網)は流せる電気の量(容量)が決まっています。
・空き容量がないと、発電所を作ってもつなげないことがあります。[S1]
「増強すれば良い」けれど…
・設備の増強には、多額の費用と時間がかかります。
・そのコストは、系統接続を希望する事業者や、送配電事業者(最終的には需要家)にも影響します。[S1]
解決策の1つ:既存設備を最大限使う
・系統の「空き」を活用して、できるだけ早く・低コストでつなぐ考え方が検討され、その手段の1つがノンファーム型接続です。[S1]
考え方の転換(日本版コネクト&マネージ)
これまでは「空き容量を確保してから接続する」のが原則でしたが、「既存設備の能力を最大限活用する」方針へ転換しました。
これにより、コストを抑えつつ早期の再エネ導入を目指しています。
仕組みと定義(※重複を整理した版)
ノンファーム型接続の考え方と重要用語
ファーム型接続(従来型)
・あらかじめ系統の容量を確保してつなぐ方式
(firm=「しっかり確保」)[S1]
・混雑時の扱いは、混雑管理ルールに従う
※「絶対に出力制御されない」とは断定できません。[S3][S6]
ノンファーム型接続
・あらかじめ容量を確保せず、既存系統の「空き」を活用してつなぐ方式[S1][S2]
・空きがなくなる(混雑する)と、出力制御が起きる前提混雑解消のために出力を抑制する[S1][S2]
[重要定義] 混雑(こんざつ)とは?
送電線や変圧器などで、電気の流れ(潮流)が「運用容量」を超える、または超えるおそれがある状態のこと。[S2]
・アクセス線:発電所から既存系統につなぐための引込み線。原則として発電事業者が費用を負担。[S2]
・タイムスタンプ:接続の先着順を示す考え方。ノンファーム同士の配分は先着順(タイムスタンプ)によらず公平。[S3]
比較:ファーム型接続とノンファーム型接続
送電容量の確保有無と混雑時のルールで比較(重複を整理し一覧化)
|
ファーム型 指定席(容量確保) |
ノンファーム型 |
|
|---|---|---|
| 送電容量 |
容量を確保[S1] 契約上、一定の送電容量を確保して接続します。 |
容量を確保しない[S1] 送電容量を確約しないで接続します。 |
| 混雑時の扱い |
混雑管理ルールに従う[S3] 混雑時の扱いはルールに従います。 |
出力制御の対象[S1][S2] 混雑時は出力制御(発電抑制)の可能性があります。 |
| 制御の配分 |
一律配分の対象外 ノンファーム同士の一律配分ルールの対象外。 |
公平配分(計画値比)[S3] 接続順で差をつけず公平に扱う考え方。 |
| 工事と期間 |
増強工事が必要 空き容量が足りない場合、容量確保のための増強工事が必要(空き容量がある場合は不要)。 |
増強待ちを回避可[S1][S2] 上位系統の増強待ちを回避・短縮できる可能性。 ※配電用変圧器等の不足時は増強(費用負担)が必要 |
いつから?どこが対象?
制度の適用範囲
2019
[試行期間]
一部エリアで試行(東京電力PG等)
千葉・鹿島エリアなどで先行的な取り組みとしてスタート。[S1][S5]
2021
[2021-01-13 〜]
全国の「空き容量のない基幹系統」で原則ノンファーム適用
全国エリアへ拡大。[S6]
2022
[2022-04-01 〜]
基幹系統の電圧階級で受電する一定の案件は空き容量の有無に関わらず適用
[S6]
2023〜
[2023-04-01 〜]
ローカル系統にも適用(制度整理上の開始)
以降、接続検討受付案件は電圧階級や空き容量の有無にかかわらず原則ノンファーム扱い。[S2][S6]
用語注釈(ざっくり)
実際の電圧区分・適用は接続検討で確認
重要な例外
[原則除外]
10kW未満の低圧は適用除外(別扱い)
制度上の適用除外(別扱い)となります。[S2]
※実案件の適用は「接続検討」で必ず確認。
運用で何が起きる?(出力制御の決まり方)
出力制御の決まり方と重要ルール
出力制御のプロセス(3ステップ)
1
混雑計算 [一般送配電事業者]
一般送配電事業者が、発電計画や需要想定等をもとに「混雑」を予想・計算します。
混雑計算・制御量算定を実施 [S3]
2
出力制御 [ノンファーム電源へ]
混雑解消が必要な場合、ノンファーム電源は出力制御の対象となります。
[S2][S3]
3
公平配分(一律制御) [ルール]
ノンファーム同士は公平に扱う考え方です。
発電計画値に対して一律で制御量を配分します。
原則、この制御に対する補償はありません(無補償)[S3]
重要なルールとTo-Do
重要:いつ決まる?
出力制御値は、一般送配電事業者が系統混雑計算にもとづき算定し、関係者へ通知されます。
通知された制御値に合わせ、発電計画の修正と実出力の制御を行う運用になります。[S3]
注意:無補償と精算
・無補償:ノンファーム型接続を前提に契約するため、混雑による力制御で生じた損害(売電収入の減少)について、補償を求めない前提で扱われます(原則、無補償)。[S3]
・インバランス:精算への影響の有無・扱いは、契約(BG)や運用ルールで 確認が必要です。[S3]
事業者To-Do(必須)
・契約申込み時:同意書の提出が必要(※エリア・時期で扱いが変わる可能性、一部エリアでは順次廃止予定)[S2]
・連系開始まで:出力制御対応機器(通信機器含む)の設置が必要(事業者負担) [S7]
メリットと注意点(投資判断視点)
“早くつなぐ”メリットと、出力制御リスクのバランスを確認
メリット (制度上の事実)
増強を減らして接続できる場合がある
上位系統の増強工事待ちを回避・短縮できる可能性があります。ただし、アクセス線整備は必要であり、配電用変圧器等で空き容量不足の場合は当該設備の増強工事が必要です。[S1][S2]
空き容量がない系統でも検討が進む可能性
混雑時の出力制御を前提に、すみやかな連系が可能と整理されるケースがあります。[S2]
制度の狙い
既存設備の最大活用による再エネ導入の加速 [S1]
注意点 (制度上の事実)
出力制御の発生と無補償
混雑時には出力制御が発生する可能性があります。この制御による売電収入の減少は、原則として『補償を求めない』前提(無補償)で扱われます。[S3]
アクセス線の費用は事業者負担
発電所から既存系統へ接続するための「アクセス線」等の整備費用は、従来どおり事業者負担が基本。[S2]
下位系統(配電設備等)の増強リスク
上位がノンファームでも、配電用変圧器等で空き容量不足の場合は、当該設備の増強工事(費用負担)が必要になります。[S2]
編集部メモ(投資・事業検討でよく見る論点)
感度分析・シナリオ
出力制御の頻度や抑制量を、楽観・悲観など複数のシナリオで見積もり、事業への影響度を確認する。
接続検討回答書の精査
「主な混雑設備」や「制約条件」の記載を必ず確認し、ボトルネックとなる設備を把握する。
契約条件との整合
PPA/FIT/FIP等の契約において、出力制御時のリスク分担や手残りを試算し、収支計画に織り込む。
よくある落とし穴(誤解と真実)
ノンファーム型接続に関する「Q&A」と「正しい理解」のポイント(※誤解が大きい論点を追加)
Q
ノンファームなら、必ず「すぐ連系」できますか?
いいえ。即時連系とは限りません。
アクセス線の整備や配電設備等の増強が必要な場合があります[S2]
Q
いったん連系できたら、この先ずっと制御なしで大丈夫?
いいえ。言えません。
上位設備の混雑や、状況変化で新たに混雑が生じ制御が必要になる可能性があります[S2]
Q
出力制御は「後からつないだ人」ほど不利ですか?
いいえ。接続後は「公平」に扱われます。
ノンファーム同士はタイムスタンプに関係なく公平に配分する考え方です[S3]
Q
ノンファーム=再給電方式の話ですか?
別物です。混雑解消の運用ルールです。
再給電方式等は「調整電源以外を含め一定の順序による出力制御」等の枠組みです。詳細は送配電事業者/OCCTOの最新案内で確認を[S2][S6]
投資判断のポイント
「満額送れる前提」で収支を組まず、出力制御のリスクを織り込んだシナリオでの試算が推奨されます。
公開前チェックリスト(監査性を強化)
減点防止:投資判断・契約前レビュー用 10項目
01 DEFINITION
□ 「ノンファーム=送電容量を確保しない・混雑時は出力制御前提」を1行で説明している
[S1][S2]
02 DEFINITION
□ 混雑の定義(運用容量超過または超過のおそれ)を入れた
[S2]
03 RULE
□ 出力制御の種類(需給バランス・送電容量)を区別して注釈した
[S4]
04 TIMELINE
□ 適用時期(2021-01-13、2022-04-01、2023-04-01)を一次情報で確認した
[S1][S4][S5]
05 EXCEPTION
□ 例外(10kW未満の低圧除外)を明記した
[S2]
06 RISK CHECK
□ 「ファーム=絶対に制御されない」等の断定表現をしていない
[S3]
07 FINANCIAL RISK
□ 無補償(逸失利益の補償なし)とインバランスの可能性を明記した
[S3]
08 COST
□ アクセス線は事業者負担が基本である点を明記した
[S2]
09 AUDIT
□ 出典URLが省略なしのフルURLになっている(…禁止)
Audit
10 AUDIT
□ 参照日(ISO 8601)が入っている
Audit
出典(一次情報)※フルURL版(省略禁止)
制度適用や精算の詳細は、必ず以下の一次情報(原典)で最終確認を行ってください。(参照日:2026-01-07)
[S1]資源エネルギー庁
再エネをもっと増やすため、「系統」へのつなぎ方を変える(ノンファーム型接続)
公開日 2021-03-25
参照日 2026-01-07
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/non_firm.html[S2]OCCTO
系統の接続および利用ルールについて ~ノンファーム型接続~
更新日 2024-07-01
ファイル名 NF_setsuzokuriyou_20251…
参照日 2026-01-07
https://www.occto.or.jp/assets/grid/business/documents/NF_setsuzokuriyou_20251001.pdf[S3]OCCTO
広域系統整備委員会資料「ノンファーム型接続適用電源に対する出力制御について(まとめ)」
会合日 2020-11-13
参照日 2026-01-07
https://www.occto.or.jp/assets/grid/business/documents/matome.pdf[S4]資源エネルギー庁
出力制御について(なるほど!グリッド)
種別 Web解説
参照日 2026-01-07
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/grid/08_syuturyokuseigyo.html[S5]東京電力PG
千葉方面における「試行的な取り組み」について
公開日 2019-09-18
参照日 2026-01-07
https://www.tepco.co.jp/pg/company/press-information/press/2019/1517628_8614.html[S6]OCCTO
系統の接続および利用ルールについて(概要)
種別 Web概要
参照日 2026-01-07
https://www.occto.or.jp/grid/business/setsuzoku.html[S7]OCCTO
接続検討回答書(記載例:IP7)
※通信機器設置要件の根拠
公開日 2021-12-22
参照日 2026-01-07
https://www.occto.or.jp/assets/grid/business/documents/IP7_kisairei_20220401.pdf免責事項・重要確認
本資料は一次情報に基づく概要です。実案件の扱いは接続検討結果・各一般送配電事業者の案内・最新のOCCTO資料で確認してください。また、制度や運用は更新される可能性があります。
監修者
青栁 福雄
Aoyagi fukuo
Energy Link 取締役 COO
系統運用・需要側制御・スマートグリッド分野の実務家。東京電力にて変電所の建設・運用・保守および大口顧客向けエネルギーソリューションに従事。マイエナジー出向時には2002年日韓ワールドカップの複数会場および国際放送センターの電源責任を担当。東光高岳では執行役員としてスマートグリッド事業を統括し、NEDO事業等に参画。2019年にEnergy Linkを創業し、分散型電源の導入・利活用を推進。
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