作成日:2025.10.19
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※本記事は、作成日または最終更新日時点で公表されている制度情報・数値・資料に基づいて作成しています。
消防危第200号解説 - リチウムイオン蓄電池の新設置基準
― 箱ごとに指定数量の倍数を合算しない運用・耐火性収納箱の要点解説 ―
本資料は消防組織法37条に基づく助言通知(消防危第200号)の要点整理です。最終判断は所轄消防。
・指定数量の倍数を合算しない取扱いで倍数合算を不要化(条件付き)
・耐火性収納箱等の60分耐火・80℃上限等の技術基準を明確化
・条件を満たせば空地・防爆・不浸透床の省略可。最終判断は所轄消防
CONTENTS目次
要点サマリー
箱ごとに指定数量の倍数を合算しない
耐火性収納箱等を使い箱内<指定数量かつ表示で、箱ごとの倍数は合算しない扱い(第2の1(1)(2))
技術基準(別紙1)
T=345log₁₀(8t+1)+20で60分加熱、非加熱面80℃以下
設置要件の緩和(いずれか1つで可)
「次のいずれか」の条件を満たす場合、蒸気排出/不浸透床(勾配・貯留含む)/防爆は不要です。【根拠】 消防危第200号 第3の2。
指定数量は「危険物の規制に関する政令」別表で定められます。
(例:第4類・第1石油類:非水溶性200L/水溶性400L、アルコール類400L)。SDSは類別・品名の確認資料として活用してください。
※実務ではSDS(安全データシート)の類別・品名に基づき指定数量を判定します。リチウムイオン電池の電解液は概ね第4類・第2石油類(指定数量=1000L)として扱われてきた実例が多い(FDMA資料)。
箱ごと非合算(倍数合算の緩和)— 算定の考え方と48セル例
48セルの計算例(数式+結論)
箱内総量[L] = セル数 × セル当たり危険物換算量[L/セル]
= 48 × 0.1042 … ≒ 5L (例)
指定数量倍数 = 5L ÷ 200L = 0.025(第1石油類・非水溶性)
判定
:この箱は「指定数量未満」→ 他箱との倍数合算は不要(条件充足時)
注意
:指定数量はSDSで確認/電解液の区分により変動します。
「箱内は合算、箱間は合算しない」の原則
指定数量は危険物の類別ごとに政令別表第一で規定されています。(例:第1石油類非水溶性=200L)
設計時はSDSで品名・類・指定数量を必ず確認してください。「箱ごとに指定数量の倍数を合算しない」運用の前提となります。
参考:消防危第200号の「3m」は離隔距離ではなく①落下試験の高さ(地上高3mからの落下で漏液なし)、②梱包高さの条件(4.0kg以下→3m、2.8kg以下→6m)の値です。
数値例と合算の考え方
判定は電解液量で行い、箱容積ではありません。
判定ロジック
原則
:箱内危険物総量 < 指定数量 なら、箱ごとの倍数は合算しない
根拠
:消防危第200号 第2の1(1)~(2)
「箱内は合算、箱間は合算しない」の原則
箱の内側では危険物量を合算して指定数量未満を確認。箱と箱の間では、第2の1の条件(箱内<指定数量+表示)を満たせば倍数を合算しない。
注意
:指定数量は「危険物の規制に関する政令」別表で定められています。SDSは類別・品名の確認資料として活用してください。
リチウムイオン電池の電解液は概ね第4類・第2石油類(指定数量=1000L)として扱われてきた実例が多いです。
重要:少量危険物(指定数量の1/5等)制度と混同しないでください。本ページは「第2の1」の判定説明です。
表示の根拠
火災予防条例(例)第31条の2第1号の標識に加え、「蓄電池等収納中」を見やすい箇所に表示する必要があります。
耐火性収納箱等の技術基準(別紙1)
技術基準の4要件
❶ 標準加熱曲線に基づく加熱(60分)
T = 345 log₁₀(8t+1) + 20
T:加熱温度(℃)、t:試験開始からの経過時間(min)
❷ 第一試験(外部火災耐性)
継続発炎・火炎噴出・貫通亀裂が発生しないこと
❸ 第二試験(熱伝導抑止)
試験材を4cm以内で対向配置し、一方を加熱。非加熱面の温度が60分後に80℃を超えないこと
❹ 構造・強度・表示要件
・隙間がなく、15°傾斜で転倒しないこと
最大積重ね高さ6m、安全率は3以上を目安
・許容最大重量/積載高さ/積重ね荷重を消えにくい方法で表示
・「積重ね不可」「機械荷役不可」等の表示(該当時)
KHK試験確認制度
危険物保安技術協会(KHK)による試験確認は任意ですが、所轄消防との協議における客観的資料として有効です(最終改正:2025/10/9)
設置要件の緩和(第3の2)— "いずれか1つ"で省略可
以下のいずれか1つを満たす場合、設備要件の緩和が適用できます。
◆ 条件①〔第3の2(1)〕
落下3mで漏れなし
耐火性収納箱等から3m落下させても内容物の流出がないこと
※単位:メートル (m)
◆ 条件②〔第3の2(2)〕
梱包重量と積高条件
4.0kg梱包→3m高さまで
2.8kg梱包→6m高さまで積載可
※単位:キログラム (kg)、メートル (m)
◆ 条件③〔第3の2(3)〕
流出防止措置
オイルパン等の流出防止対策が講じられていること
根拠:消防危第200号 第3の2(1)~(3)「次のいずれか」
条件を満たした場合の効果
キュービクル式蓄電池設備の特例
厚さ1.6mm以上の鋼板等の外箱を有するものは、自家発電設備との合算不要・距離不要
【根拠】第2の2(1)~(3)、補足(2)~(4)
遮炎布の要件(消防危第273号 2024/9/17)
国交大臣認定の特定防火設備と同等の遮炎性能を試験(又は通知別紙の簡易試験)で確認。固定はフック/ベルト/ネジ等で確実に、貫通部からの侵入防止を行う
Q&Aとチェックリスト
重要な注意点:
本資料は消防組織法37条に基づく「助言通知」(消防危第200号)の要点整理です。最終判断は所轄消防となりますので、設計段階から事前協議を行ってください。
よくある誤解と正解
Q一律○m必要?
全国一律の離隔距離は本通知で新設していません。ただし、第2の1の条件(箱内<指定数量+表示)や第2の2等を満たす場合に相互距離不要と扱えます(補足⑴〜⑶)。最終判断は所轄消防と協議。 【根拠】第2の1、補足⑴〜⑶
QKHKは必須?
任意です。KHK試験確認は客観資料として有効 (開始2024/7/24・改正2025/10/9)。審査期間短縮に役立ちます。
Q設備省略の条件は?
落下3m/梱包4.0kg・2.8kg/オイルパンのいずれか1つで可能。詳細はP.6参照。
【根拠】消防危第200号 第3の2
実務チェックリスト
設計・設置前のチェック項目:
❶ 標識+「蓄電池等収納中」表示
消えにくい方法で表示(火災予防条例(例)第31条の2+蓄電池等収納中)
❷ SDSで確認
品名・危険物の類別を確認する
❸ 危険物の分類
第4類第1石油類など(リチウムイオン電池は概ね第4類・第2石油類)
❹ 指定数量の確認
政令別表で定義(例:第1石油類非水溶性=200L、第2石油類=1000L)
❺ 箱内危険物総量の算定
セルの電解液量を合算し<指定数量を確認
❻ 常時閉鎖の確認
作業時以外は蓋を閉める(効果維持のため)
❼ キュービクル式の合算ルール
外箱が厚さ1.6mm以上の鋼板等なら設備ごとの合算不要(複数台でも)
❽ 所轄消防と事前協議
助言通知のため最終判断は所轄が行う
関連通知:
消防危第116号(2025/05/27):リチウムイオン蓄電池の消火・運搬等に関する運用
消防危第273号(2024/09/17):キュービクル式リチウムイオン蓄電池設備の貯蔵
出典:
消防危第200号(2024-07-02)
https://www.fdma.go.jp/laws/tutatsu/items/7e20368cd1aee3f87c66c4579567b04772a45003.pdf消防危第273号(2024-09-17)
https://www.fdma.go.jp/laws/tutatsu/items/240917_kiho273.pdf消防危第116号(2025-05-27)
https://www.fdma.go.jp/laws/tutatsu/items/250527_kiho_116.pdf火災予防条例(例)
https://www.fdma.go.jp/laws/laws/items/20230531_joureirei.pdfKHK試験確認(2024-07-24/2025-10-09)
https://www.khk-syoubou.or.jp/pdf/guide/test_confirm/20241025gaiyo.pdf監修者
青栁 福雄
Aoyagi fukuo
Energy Link 取締役 COO
系統運用・需要側制御・スマートグリッド分野の実務家。東京電力にて変電所の建設・運用・保守および大口顧客向けエネルギーソリューションに従事。マイエナジー出向時には2002年日韓ワールドカップの複数会場および国際放送センターの電源責任を担当。東光高岳では執行役員としてスマートグリッド事業を統括し、NEDO事業等に参画。2019年にEnergy Linkを創業し、分散型電源の導入・利活用を推進。
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