作成日:2025.10.19
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※本記事は、作成日または最終更新日時点で公表されている制度情報・数値・資料に基づいて作成しています。
kWは速さ、kWhは量、Cは倍率、RTEは往復効率
系統用蓄電池をAC/ACでスッキリ理解
kW・kWh・Cレート・RTEの4基礎を系統用BESSの実務で使う視点で整理。
AC/AC基準・LFP(RTE=85%)前提で、測定条件を必ず明記し、実務での齟齬を防ぎます。
基本の定義(ひとことだけ)
: いまの速さ。
: 合計の量(kW×時間)。
: 速さの倍率(1C=1時間で出し切る)。
: 入れたエネルギーに対して戻る割合(%)。
これだけ覚える式
出力[kW] = 容量[kWh] × C
※PCS定格・BMS制約で上限あり
放電時間[h] = 1 / C
例:0.5C → 2時間、2C → 0.5時間
取り出せるエネルギー[kWh] = 充電量[kWh] × RTE(%)
※AC/ACで評価(連系点での往復効率)
注意
式は目安です(温度・電圧・SOC・補機負荷で上下)。
・出力:有効容量×Cが目安、実際はPCS定格/BMS制約が上限
・時間:有効容量÷実効出力(一定出力なら1/Cが目安)
実務の前提(ここを合わせれば迷わない)
系統用蓄電池(BESS)の実務において、以下の前提を統一すると比較や計算での混乱を防げます。
◆測定点はAC/ACで統一
見積・精算・比較の基準は連系点。PCS・トランス・補機のロスを含む。
DC/DC(電池端子間)は製品評価用であり、実務の基準には使わない。
◆RTE前提
公的基準(NREL ATB)に準拠し、条件(温度・負荷・SOC)を併記する。
◆表示単位
1MW = 1,000kW、1MWh = 1,000kWh の換算で統一表記する。
◆Cと寿命
特に高温環境では実効Cを下げ、寿命と性能のバランスを取る。
※ 業界標準に沿った前提を使用することで、関係者間の認識齟齬を防ぎ、円滑な実務進行が可能になります。
よくある誤解(Q&A)
Q
容量(kWh)が大きいと瞬発力(kW)も大きい?
別物。瞬発力はkWやCで、継続時間はkWhで決まる。
Q
カタログの"RTE 95%"が基準?
多くはDC/DC測定や特定条件。AC/ACで条件明記が比較の基本。
Q
1C=1kWのこと?
いいえ。1C=1時間で出し切る速さ。出力は容量×Cで決まる。
※ 本資料の前提:RTEはLFPで85%(ATB)、PV直結は87%の想定。
比較・評価は連系点のAC/ACで統一。条件(温度・負荷・SOC・補機)を必ず併記。
1問だけの練習
問題
200kWhのLFP BESSを0.5Cで運転する。
1. 最大出力[kW]は?
2. 放電時間[h]は?
3. 100kWhを充電したとき、AC/AC・RTE=85%で何kWh戻る?
解き方と答え
(1) 最大出力:容量 × Cレート
[200kWh × 0.5C = 100kW]
(2) 放電時間:1 ÷ Cレート
[1 ÷ 0.5C = 2時間]
(3) 戻るエネルギー:充電量 × RTE
[100kWh × 0.85 = 85kWh]
(15kWhは損失)
最大出力
100kW
放電時間
2時間
戻り量
85kWh
※ 本資料の前提:RTEはLFPで85%(ATB)、PV直結は87%の想定。比較・評価は連系点のAC/ACで統一。条件(温度・負荷・SOC・補機)を必ず併記。
図解+チェック+出典
測定点の違い(テキスト説明)
AC/AC測定点
連系点↔連系点の往復で測定
:PCS・変圧器・補機のすべての損失
:事業計画・精算の基準として使用
DC/DC測定点
電池端子↔電池端子の往復で測定
:PCS・補機の損失
:セル/ラック評価の基準として使用
※ 本資料はAC/AC基準で統一。RTEはLFPで85%を前提(PV直結は87%の想定)。
※ 比較時は「同じ測定点」で条件(温度・負荷・SOCレンジ・補機負荷)を必ず併記。
測定点の選択は実務上重要です。AC/ACは事業全体の性能を反映し、DC/DCはバッテリーセル自体の性能を評価します。両者を混同して比較すると、10%以上の効率差が生じる場合があります。
出典(一次情報のみ)
EIA「Glossary: Electricity(kW/kWh の定義)
https://www.eia.gov/tools/glossary/?id=electricityNREL ATB 2024「Utility‑Scale Battery Storage(Li‑ion/LFPのRTE=85%前提)」
https://atb.nrel.gov/electricity/2024/utility-scale_battery_storageNREL ATB 2024「Utility‑Scale PV‑Plus‑Battery(PV直結のRTE=87%前提)」
https://atb.nrel.gov/electricity/2024/utility-scale_pv-plus-batteryDOE/Sandia「SAND2016‑3078R:蓄電システム性能の測定・表記プロトコル」
https://www.sandia.gov/app/uploads/sites/163/2021/09/SAND2016-3078R.pdf監修者
青栁 福雄
Aoyagi fukuo
Energy Link 取締役 COO
系統運用・需要側制御・スマートグリッド分野の実務家。東京電力にて変電所の建設・運用・保守および大口顧客向けエネルギーソリューションに従事。マイエナジー出向時には2002年日韓ワールドカップの複数会場および国際放送センターの電源責任を担当。東光高岳では執行役員としてスマートグリッド事業を統括し、NEDO事業等に参画。2019年にEnergy Linkを創業し、分散型電源の導入・利活用を推進。
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